akimichi design nikki

玄関扉を考える

b0131531_10293066.jpg
                                                      photo 西川公朗

『玄関扉を開けた瞬間に道を歩いていた他人と目が合って、なんだかちょっと気まずい気分になる・・・』

まだ素のままの無防備な状態で、社会的な自分に切り替わってもいないのでちょっとドキッとしてしまう。
小心者のせいか私にはよくある・・・。

扉を挟んでプライバシーの境が生まれる玄関扉は、設計者の気の使い方が出ると思っています。
上の写真では左手がすぐ道路ですが、囲いを設けてちょっと露地状にして玄関を奥に設けています。
ポストもインターホンも、この露地状部分の手前にあるので家族以外は入ってこないようになっています。
庇も大きく設けているので、雨の日に傘をたたむ時にも、子供たちの帰宅時に雨がっぱを脱がせるにも便利です。

何より、このわずかな露地状の空間の中で「素の自分から社会的な自分」またその反対という
人の小さな心理的な移り変わりに一役買える空間となっていることが大きいです。
人の気持ちの変化を空間によって、違和感なくグラデーションのようにつなぐことができるのは、
まさに建築の醍醐味だと思っています。

もう一つ。玄関扉の他に通風用の網戸も仕込んであるので、その防犯も考慮して露地状空間を設けました。
玄関扉を引き込んで網戸にしても、家の中を人に見られる心配がありません。
マンションに住んでいる方ならば経験があるでしょう。
玄関扉を開け放つと風がとてもよく抜けますが、この家はまさに風の通り道があるわけです。

b0131531_19213268.jpg
                                  photo 西川公朗

          ↑ 写真は玄関扉を引き込んで網戸にした状態。正面には板塀の露地状空間。

もちろん、制約があって露地状空間を作れない場合は、せめて道路に対して角度をつけて相対さないようにする。
玄関扉をあけても家の中が丸見えにならないように工夫するなど、制約の中でできることをしています。

しかし、この網戸のある玄関はいいものです。風の行き止まりがないというか、潔さみたいなものがあります。
今後も機会があれば作っていきたい設えです。

[PR]
# by slowlide850 | 2018-03-09 20:13 | architecture | Comments(0)

お茶とお菓子 横尾

b0131531_18113837.jpg

吉祥寺にあった『お茶とお菓子 横尾』のファンでした。
美味しい食事やお菓子も好きでしたし、横尾の内装には他にないものがあって好きでした。

恵比寿の隠れ家のようなマンションに当時はひっそりとあった『タミゼ』が内装を手掛けたと聞いて、
どんなんだろう?と開店まもなくの頃に訪れたのを覚えています。
初めて訪れた時の感想は「ちょっと退廃的でなぜかバウハウスを思い出す内装」といった印象でとても新鮮でした。

良くも悪くも建築家というものは、きちっと空間をつくってしまう性があります。
これは、建物の構造という秩序が支配するようなところから空間を考えていくからだと思っていますが、
横尾のような雰囲気はなかなか建築家には作りだしにくい。
かと言って素人が手掛けた内装というのは、よほどセンスでもない限り、プロの身からすると・・・。
昔の数寄屋建築は、建築家ではない数寄者がそのセンスを競うように普請していたわけですが、
横尾に建築家にはない、そうしたセオリーを無視した笑、自由さみたいなものを見たような気がして面白かった。

その横尾が復活したと聞きました。すでに混雑しているというからさすがです。
今度は、同じ吉祥寺ですがもう少し駅からは離れるようです。
写真の冊子は、11年間の思い出にと作られた関係者向けのものです。
妻が短期間ですがスタッフとして働いていたことから頂いたものです。
この冊子がまた「横尾」的で素敵です。

[PR]
# by slowlide850 | 2018-03-06 17:51 | cafe | Comments(0)

カフェ・ド・ランブル

b0131531_17401076.jpg
時間が空いたので建築家谷口吉生さん監修というGINZA SIXの外観を眺めに行くも暗くてよくわからない・・・
ならばと早々にあきらめて、お目当ての珈琲の名店「カフェ・ド・ランブル」へと銀座の夜を歩く。

東京に住んでいると『いつでも行ける』という悪しき怠慢に陥って行っていないところがけっこうある。
私の中で、この1948年創業の名店もその一つ。

有名店へゆくと時折、店が放つ必要のない圧迫感とか意味不明な「ルール」に出くわして悲しくなるけれど。
本当にちゃんとしたところはやはり居心地がよくてうれしくなる。
カウンターに座ってネルでの抽出風景を見ていると、これはショーのようなものだと思えてくる。
今煎れてるのが自分のだなっとみていると楽しくなってくる。
美味しい珈琲で、その空間を支える人の気持ちも味わえた。






[PR]
# by slowlide850 | 2018-02-26 18:59 | cafe | Comments(0)

結露との闘い

b0131531_14455283.jpg
にびいろの舎の屋上ハッチ。
スチール製の既製品ですが「結露水が結露受けの板金にうまく流れ込まない」ということで補修に行きました。
お施主さんに「設計だけど何でもするんですね」と云われる笑。

断熱性の無いスチール製ハッチなので結露するのはわかっていて対処はしていました。
ただ、お施主さんに聞けば当初考えていた結露量を超えている様子。
なぜかと生活ぶりを聞いてわかりました。暖房を一日中ガスファンヒーターでまかなっているとのこと。
ガスファンヒーターは加湿器が要らないほどに燃焼時に水分が発生するため、
水分を含んだ温まった空気が頂部にあるハッチで冷やされてしまう。
朝から夜寝るまでとなると相当な水分量になってしまっているようです。

本来的には空間が暖まってきたら、エアコンに切り替えて運転すると経済的にも楽でよいのですが、
ガスファンヒーターの暖かさを知るとやめられなくなるお施主さんの気持ちもよくわかります。

設計時にハッチ下にさらに扉を設けることで断熱することは考えていたものの、
予算配分を考えてなくしてしまったことが悔やまれます。
補修自体は問題なく終えましたが、ハッチの断熱化を考えないといけないかもしれません。

「完璧な家を設計したい」といつも思っていますが、実際は一か所くらいはこうした問題が発生してしまいます。
もちろん、根本的な構造の問題や大きな瑕疵があってはならないのは当然ですが、
工業製品とはちがう建築はこうした問題が時におきてしまう。
お施主さんには、過去の事例を包み隠さず伝えるなどして透明性を心がけています。

しかし、久しぶりに上がったにびいろの舎の屋上は気持ちいいです。
遠くまで見渡す気持ちよさがあります。






[PR]
# by slowlide850 | 2018-02-21 15:45 | architecture | Comments(0)

濱田庄司記念益子参考館

b0131531_11232227.jpg
益子には度々訪れるものの、なかなか寄ることができなかった念願の場所。
建築も好きですが器も好きです。
観光シーズンでもないので貸し切り状態でゆっくり見て回れました。

展示された濱田庄司のおおらかな作品がとても素敵な上に、各地で「自分の作品が負けたと感じた記念」
に蒐集した品々がまた面白くて、もうその「負けた記念」っていうのがたまらなく素晴らしい。
濱田さんお茶目だ。なんというか陶芸家にありがちな気難しさを払拭してくれる。
作家と呼ばれるのを好まず、工人として作陶にあたったというけれど、
そうした民芸運動の精神にはとても共感します。また教えられもします。



[PR]
# by slowlide850 | 2018-02-15 12:18 | life | Comments(0)

縁側のある暮らし

b0131531_10103682.jpg
       photo : にびいろの舎

私が生まれ育った昭和初期に建った平屋には長さが三間半もある庭を望むように設けられた縁側がありました。
真南に面していたので陽当りは申し分なくて、どこかのんびりした縁側には思い出がたくさん残っています。

子供の頃に庭で放し飼いにされていた犬は、室内には入れないものの縁側にあがることは許されており。
この長い縁側で日がな一日大好きな日向ぼっこができて幸せそうでした。
早めに学校から帰ってくる土曜日は犬と一緒にこの縁側にゴロンと寝て、日差しの温もりの中で空を見上げて
ぼーっと流れる白い雲を眺めるのが好きでした。

スキーやキャンプの翌日には道具が干され、靴や枕は日常的に干されていました。
夏に縁側でスイカを食べるときに種は庭に飛ばしたり、満月にはお月見したり、
ちょっとした雨なら濡れないのでおもちゃで遊んだり。
過ぎ去ってみると、実にたわいのないことばかりを覚えているものです。
しかし、そうしたことはこの縁側があってこそで、おおらかな記憶をこの縁側はもたらしてくれたような気がします。

にびいろの舎にも縁側があります。こちらも暮らしにおおらかさをもたらせたらと思っています。


[PR]
# by slowlide850 | 2018-02-11 19:56 | architecture | Comments(0)

西荻窪 JUHA(ユハ)

b0131531_13473125.jpg
JUHA(ユハ)と聞いてあなたは何を想起しますか?
①アキ・カウリスマキ
②ユハ・レイヴィスカ
③ユハ・カンクネン

西荻窪のcafe JUHAでコーヒーを飲むたびに頭にそんなどーでもいいような疑問が浮かぶ。
店名はアキ・カウリスマキの映画からだから、この場合は①が正解・・・!?
私は③のユハ・カンクネンだったりする。世界チャンピオンに4回もなった有名なラリードライバー。
映画「私をスキーに連れてって」に登場したセリカGT-FOURにも乗っていた。懐かしい。
②は北欧建築が好きな方ならば知っているだろう大御所建築家。

東京の中央線沿線には、どこかこじゃれたcafeよりも『JUHA』のようなcafeがよく似合うと思います。
とかく西荻窪となるとちょっとディープさもないと面白くない。まぁ流行りを追いかけただけのcafeなんてなくていい。
こうして会話を邪魔するかなっていうギリギリまで音量をあげて流れるジャズのおかげで、
申し訳ないけれど隣のカップルのつまらない会話が聞こえずに読書できてむしろいい。
これはきっと店主の計算にちがいない。


[PR]
# by slowlide850 | 2018-02-03 14:41 | cafe | Comments(0)

迎賓館 赤坂離宮和風別館

b0131531_09230431.jpg
一昨年から一般公開された「迎賓館 赤坂離宮和風別館」を見学。予約制で館内をガイド付きで50分程で廻ります。
竣工は昭和49年で設計は谷口吉郎。今や息子の谷口吉生さんのお父さんといった方がわかりやすいでしょうか。

屋根」という題でも書きましたが、日本的なものに触れると不思議な安心感があります。
とかく迎賓館本館の西洋風宮殿を見ながらたどり着くこの別館は、その思いを強くしてくれます。

イタリアンにフレンチ、中華に韓国料理もいいけれど、結局ご飯と味噌汁におしんこの安堵感に戻ってくる。
今、日本的な建築が持つ大切な意味は安堵感のようなものではないでしょうか。
自分の設計でも、ご飯と味噌汁的な「ホッと感」がほしくて、さりげなく日本的な意匠や素材を使うことがあります。

昨年は浜松の「松韻亭」(設計谷口吉生)を見学したので親子での空間の比較も面白いもので、
広間の基本的な構成や考え方は父親を手本としてまとめたことがよくわかります。
建築は世襲的な世界ではないので踏襲に近い感覚は却って新鮮に感じます。
見学した日は残雪と冷え切った空気のせいか、空間も凛とした佇まいで品があって素敵なものでした。



[PR]
# by slowlide850 | 2018-02-01 16:45 | architecture | Comments(0)

真新しんだけど、馴染んでいる。

b0131531_13544223.jpg
photo上座の家

先日、久しぶりにわりと近所のcafe「手紙舎2ND STORY」へ行く。
カウンターでコーヒーを飲みながら、ふと昔は一杯のコーヒーのためによく遠くまで行ったのを思い出しました。

中野クラシックにはじまり、大坊珈琲店、荻窪邪宗門、那須のSHOZO、益子のSTARNET、長野の夏至、千葉のKUSA.
京都六曜社、FACTORY KAFE工船、イノダコーヒー、直珈琲、茨城カフェラファミーユ、
tocoro cafe、another door、横尾、J-COOK、トムネコゴと。あげだしたらキリがないほどです。
ただ美味しいコーヒーが好きなわけではなく職業柄、空間や雰囲気にこだわりがあるようなところへ行っていました。

新築のオープンハウスの際によく新築っぽくないと感想を頂くのですが、それはその方が落ち着くと思うからです。
上に挙げた店はどれもそうですが、年月を経て馴染んだ空間とそれぞれに個性的な雰囲気を持っていて落ち着きます。
ぴかぴかの新築ではなく「真新しんだけど、馴染んでいる。」というはじまりもいいだろうな。と思っているのは、
こうした空間からも影響を受けてのことです。

住み手が長年愛用してきた家具や食器、衣類がすんなりと馴染むような空間は、住み手の生活を途切れさせることなく
受け入れることですから、建築が主役だったり、これ見よがしに古材を使うようなことはしません。
一般的な建材を使いながらそれでいて、『ここで飲むコーヒーは美味しいなぁ』と思ってもらえるようにするのが、
やっぱり自然でいいんじゃないかと思うんです。







[PR]
# by slowlide850 | 2018-01-23 14:19 | cafe | Comments(0)

b0131531_14542905.jpg
今日はあっという間に自宅テラスも雪景色となりました。
外出の用もなく自宅で仕事だとまぁ雪もいいものですが、今日は寒さでエアコンが頻繁に止まります。
「霜取り運転」のためで10分ぐらいするとまた動き出しまた止まる。繰り返しです。

止まらないように設計されたエアコンもありますが、設計では冬の暖房にガスファンヒーターを薦めています。
すぐに温風がでるので、冷え切った室内を一気に温めるのにはガスファンヒーターが向いています。
室内がほどよく温まったらガスファンヒータを切って、今度はエアコンをとろ火状態で運転する。
経験上これが一番効率的だと思います。
関東圏での今日のような極端に冷える日でエアコンが満足に動かなくとも安心です。

暖房の提案を実体験をもとにしたかったので昔、石油ストーブも使ってみましたが子育て中では使えませんし、
忙しい日常で石油を買うのが手間で、置いておく場所もない。抜群に暖かいのですが都市生活者には当然不向きです。
「醤油チュルチュル」でこぼさないようにして石油タンクにいれ、なんだかちょっと石油臭くなる手や
石油が燃えるあの独特の匂いにはちょっと惹かれるのですが、今は非常用として地下にストックしています。




[PR]
# by slowlide850 | 2018-01-22 15:12 | architecture | Comments(0)