akimichi design nikki

カテゴリ:architecture( 455 )

昔の人は背が低かった展

b0131531_21030555.jpg
森美術館で行われている「建築の日本展・その遺伝子のもたらすもの」を観に行く。

しかし暑い。今日は地底人になりたいとばかり、地下鉄と地下道を駆使して向かう。
地下道のありがたみってこんなに感じたことはなかったんじゃないか。と思う。
近い将来、本気で都心部が地下道主体になる気がしてくる。
そして、この暑さでオリンピックをやるというのは、ちょっともう意味がわからなくなってきている。
選手もボランティアも、平和の祭典という名の生死をかけたリアルサバイバルということでいいのだろうか。
とりあえず各国の選手には下見がてら、この暑さを一度体感してもらったほうがいいんじゃないかと思う。
みんな不参加になったりして・・・

さて、最近の大型の建築展というと、有名建築物の原寸モデル展示が流行りです。
今展示には茶室「待庵」があり、さらに中にも入れます。本物は国宝で中には入れません。これは嬉しい。
建築物のスケールは体感するものです。
いくら本を読んでも図面を読み込んでも、それは知識にすぎない。

3人一組で中へ入るのでカップルで来ていた方と入ったのですが、そのあまりの天井の低さに
女性が「昔の人は身長が低かったのかな?」と言ったのが面白かった。
利休の身長は180cmと言われていますから、もちろん「意図」して天井を低くし、わずか2畳という空間を造った。

どうも建築展というのは、こうした疑問に答える術を持っていない。
建築論的な説明書きはあっても、人が体感した際の純粋に感じる疑問が、まさに「意図」に直結している
という大事な状況を拾いきれない。

もしかしたら音声ガイドを使っていればはフォローしているのかもしれないけれど、
その女性は「昔の人は背が低かった」ということで待庵という茶室を理解してしまうかもしれない。
かといって、いきなりガイドでもない赤の他人の私が呼び止めて説明するのは、立派に不審者レベル。。。
建築好きとしては、なんだか勿体ないなっと思ってしまった今日の出来事。












[PR]
by slowlide850 | 2018-07-20 23:07 | architecture | Comments(0)

設計事務所のお仕事

b0131531_18162680.jpg
新築・改装工事の見積もり期間は大抵3週間で工務店さんに依頼しています。
この期間というのは、いつも予算から大幅にオーバーしませんようにとドキドキします。
「プロなんだから、決まった予算にビシッと一発で合わせこむのが仕事だろう」という声が聞こえてきそうです。
その通りです。耳が痛いところです。

しかし、なかなか一発では難しい状況がそこにはあります。
住宅の工事で同じ図面を用いて見積りを行う場合でも、3社に相見積もりをとれば金額の高低差は
300万円~400万円はざらに異なるものです。
工事に対する人件費の割合はとても大きいもので、同じ内容工事でもA工務店は10人工、かたやB工務店は20人工と
見方が異なるだけでも、各工事を合計すれば大きな差が生まれます。

工務店さんによっては自社の営業・宣伝費なども経費や見積もりの中に入ってきたりするので、
工事費を予算通りに合わせこむというのは、図面内容以外に存在してしまう不確定な要因にも左右されてしまう。
とても難しい作業とも言えます。

とはいえ当然、予算に向けての減額作業がとても大切になります。
出てきた見積もりに対しては、見積査定書を作成して工事単価・数量・内容に至るすべての項目を査定しています。
この査定は、事務所の仕事の中でもとても重要なものです。
減額要素だけでなく、時に増額となる部分も指摘します。公平にかつ工事として適正な金額を算出をしているのは
きれいごとではなく、お施主さん・工務店・設計者の三者の信頼関係を築きたいからです。
この三者のしっかりとした関係なしに、何千万もする工事なんてとてもじゃないけれど怖くてできません。

今回もこうした減額作業を経て「二人舎」も再来週には着工の運びとなりました。
年内には竣工します。また工事中の様子もこのブログにあげますのでご覧ください。







[PR]
by slowlide850 | 2018-07-11 19:38 | architecture | Comments(0)

洗面所

b0131531_15393274.jpg
こうして光の入る、スッキリとした洗面所は気持ちがいいです。

ただこの洗面所、実は壁と壁との幅は1.3Mほどしかないので寸法上は狭いんです。
そこで、浴室の扉を換気もかねて開け放つことで、
目線高さに設けた浴室窓から庭へと視線が抜けるようにしていたり、
横長のハイサイドの窓からは、借景の森が見えることでそこにある空間よりも広く感じる仕掛けを施してあります。
また洗濯機や棚板もわずかに壁をへこませて納めることで、少しでも有効寸法を生み出すような
小さな工夫を積み重ねてあります。

設計者にとって現実の寸法から、空間の広がりをどれだけ作りだせるのか。
だまし絵ではないですが、人がその空間をどう感じるかを想像して、
現実の寸法からどれだけ飛躍することができるのか、挑戦心をかきたてられます。



[PR]
by slowlide850 | 2018-07-05 16:19 | architecture | Comments(0)

灯台の白とモダニズムの白

b0131531_21260405.jpg
ぼーっとするのに海ほどいいものはないでしょう。
たまに海にくると、ひたすらにぼーっと地平線を見ながら風に吹かれてしまう。
そして私にとって、灯台といえば幼いころによく来た犬吠埼。

灯台の「白」は海と空の青に映える。もともと風景に溶け込まずに目立つように「白」なのだと
聞いたことがあります。それ以来、建築でいうモダニズムの「白」もいろいろと言われるけれど、
本当は目立つようにという建築家の自意識の色ではないかと思ってしまいます。
そんなことを意識してしまい、今まで外壁を白く塗ったことがないですが、
それはそれで誰にも伝わらない勝手な自意識過剰だとは思っています(笑)

[PR]
by slowlide850 | 2018-06-22 21:54 | architecture | Comments(0)

ブルーノ・マットソン

b0131531_17531167.jpg
にびいろの舎の一年点検に伺いました。
リビングにブルーノ・マットソンのイージーチェアが置いてありました。
日本人の体形にあわせて、小ぶりにデザインされていて座り心地がよく、私も好きな椅子です。
リビングのスケールにも、この椅子がよく合っていて素敵です。
ダイニングテーブルの上にあるトップライトで、空間の光もほどよく入っていて落ち着きます。

こうして、たまに伺って生活の雰囲気や暮らしやすさなどをお聞きするのはとても楽しいです。
もちろん、その話のすべては経験となってこれからの設計に生かしてゆきます。

庭の木々もこの一年で成長して根を張ってきていて、家自体がこの土地に根付き始めたような
感覚があって嬉しくなります。












[PR]
by slowlide850 | 2018-06-19 18:40 | architecture | Comments(0)

図渡し

b0131531_19085462.jpg
設計事務所から工務店さんへの見積もり発注・依頼を「図渡し」といいます。
事務的な「見積もり発注」という響きよりもこの「図渡し」の方が私にはしっくりきます。

先日『二人舎』の図渡しをしました。
依頼先は独立以来のお付き合いである遠山工務店さんです。
もう何度も見積もり頂いていますが、予算内に収まるか否かは毎回ドキドキするものです。
これまでの経験値や同規模の過去の案件を下敷きに設計内容・予算配分を考えるわけですが、
まったく同じという計画は絶対にありえませんから、見積もり結果がでるまではどこか落ち着かない日々が続きます。

さて、この二人舎の面白い点は、将来的に外観の改修を考えているので、
今回の工事では外観は変わらずに中身だけが変わるということです。

きっと、工事がはじまったら近所の人は不思議なはずです。
築40年の経年が見て取れる外観でありながら、
『ずいぶんと工事しているけど外観は変わらないし、いったい何をしているのだろう?』と。

工事が終わっても、そこにある家は外観は何も変わっていない。。。
近所の方々をちょっと煙に巻くような、小さないたずら心が芽生えてきそうです。






[PR]
by slowlide850 | 2018-06-15 21:58 | architecture | Comments(0)

二人舎

b0131531_12090527.jpg
昨年より設計を進めてきた築40年の住宅改装計画です。
「二人舎」(ふたりしゃ)といいます。
名前の通り、ご夫婦「二人」のための家です。

築40年の木造なので構造を補強しつつ、内部は既存プランを生かしながらも全面的に改装します。
ただ外壁などはそのままですので、ちょっと内外のギャップのある計画になるとおもいますが、
却ってそこが面白い計画になりそうです。

年内の竣工を目指していきます。


[PR]
by slowlide850 | 2018-05-15 12:21 | architecture | Comments(0)

事務所風景

b0131531_14573336.jpg
気持ちのいい季節です。
窓を開けると裏の林の風が吹き込みます。
こういう日は、おのずと仕事もはかどります。

[PR]
by slowlide850 | 2018-05-12 14:59 | architecture | Comments(0)

懐かしさ

b0131531_19203207.jpg



設計ではちょっと懐かしい小物を使うことがあります。
昭和のトグルスイッチだったり、吹きガラスだったり。
自分でも古道具が好きなこともありますが、
私にとってはこうした小物たちは過去と未来をつなぐちょっとした「仕掛け」のようなもので、
楽しいものです。

ヨーロッパでは、街に古いものと新しいものが混在している。
歴史が途切れずに連続している状態はとても豊かなことでしょう。
日本でも、城下町などを散策しているととても落ち着いた気持ちになります。
古い町並みには情緒があり、どこにでもある「街」ではなく固有な顔を持っている。

ただ日本は地震国で、大半が木造住宅ですから築年数が増せば取り壊して新築するのはある面では致し方ない。
そうすると、どんどん「新しさ」ばかりが蔓延し続ける。

設計する住宅では、よく「新築だけど新築っぽくないですね」と言われます。
古民家風などという意味ではありませんし、アンティーク風とも違います。
エイジング塗装や古材といった安直なものは使わずに、「懐かしさ」みたいなものがあれば、
それは、実は新しいことだとも思います。







[PR]
by slowlide850 | 2018-05-08 18:53 | architecture

玄関扉を考える

b0131531_10293066.jpg
                                                      photo 西川公朗

『玄関扉を開けた瞬間に道を歩いていた他人と目が合って、なんだかちょっと気まずい気分になる・・・』

まだ素のままの無防備な状態で、社会的な自分に切り替わってもいないのでちょっとドキッとしてしまう。
小心者のせいか私にはよくある・・・。

扉を挟んでプライバシーの境が生まれる玄関扉は、設計者の気の使い方が出ると思っています。
上の写真では左手がすぐ道路ですが、囲いを設けてちょっと露地状にして玄関を奥に設けています。
ポストもインターホンも、この露地状部分の手前にあるので家族以外は入ってこないようになっています。
庇も大きく設けているので、雨の日に傘をたたむ時にも、子供たちの帰宅時に雨がっぱを脱がせるにも便利です。

何より、このわずかな露地状の空間の中で「素の自分から社会的な自分」またその反対という
人の小さな心理的な移り変わりに一役買える空間となっていることが大きいです。
人の気持ちの変化を空間によって、違和感なくグラデーションのようにつなぐことができるのは、
まさに建築の醍醐味だと思っています。

もう一つ。玄関扉の他に通風用の網戸も仕込んであるので、その防犯も考慮して露地状空間を設けました。
玄関扉を引き込んで網戸にしても、家の中を人に見られる心配がありません。
マンションに住んでいる方ならば経験があるでしょう。
玄関扉を開け放つと風がとてもよく抜けますが、この家はまさに風の通り道があるわけです。

b0131531_19213268.jpg
                                  photo 西川公朗

          ↑ 写真は玄関扉を引き込んで網戸にした状態。正面には板塀の露地状空間。

もちろん、制約があって露地状空間を作れない場合は、せめて道路に対して角度をつけて相対さないようにする。
玄関扉をあけても家の中が丸見えにならないように工夫するなど、制約の中でできることをしています。

しかし、この網戸のある玄関はいいものです。風の行き止まりがないというか、潔さみたいなものがあります。
今後も機会があれば作っていきたい設えです。

[PR]
by slowlide850 | 2018-03-09 20:13 | architecture | Comments(0)