akimichi design nikki

カテゴリ:architecture( 462 )

どこにでもあるような家族の風景

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音楽を聴いていて、空間の情景が思い浮かぶ曲というと、私にとってはハナレグミの『家族の風景』。
聴くたびに、どこにでもあるような家族の風景という詩に温かみを感じる。
そして、同時に成長や変化という変わってゆく家族の風景を思うと切なさも感じさせる詩。
そんな家族の風景である家を作りたい。聴くたびにそう思わせてくれる大切な曲。







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by slowlide850 | 2018-09-13 18:32 | architecture | Comments(0)

二人舎 新築模索編

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画像:新築案検討時の模型
インナーバルコニーを設けた都市型住宅。

『二人舎 そのはじまり編』のつづきです。
<借地>
建替えの進言をお施主さんは受け入れてくださり、新築計画を練り上げることになりました。
問題になったのは、敷地の状況でした。
前述のように計画地は母屋と計画建物が隣接し、その敷地全体は借地となっています。
さらに進めていくと借地が国有地であることがわかりました。
民間借地であれば、地主さんの承諾を取り付ければよいのですが、国有地となると私も経験も知識なく、
一体どういった手続きを踏めば許可されるのかわかりません。
しかも、交渉窓口の信託銀行の担当者ですらよくわからない。都度財務局の応答を経るという状況で
とても時間がかかりました。

基本的には借地の建替えは難しいというのが一般的な話です。
それでも、築40年の建物の安全性と元は自分が言いだしたことです。簡単に白旗をあげるわけにもいかない。
必要な手続きと費用を洗い出して模索してゆきます。

<敷地面積の最低限度規制>
借地だけの問題であれば新築はできた可能性はあったのですが、もう一つ大きな問題があります。
杉並区の条例「敷地面積の最低限度規制」です。
狭小地の売買規制を行い、これ以上の都市の密集化を防ぐ条例ですが、建替え計画に必要な70㎡を確保できないのです。
あとわずかに1㎡ほど足りない・・・。
この足りるか?足らないのか?の結論には、必要な登記の情報が見つからず法務局で調べてもらい、
その後区に調査依頼して、ようやく1㎡足らないことが判明しました。
こちらも結論までとても時間がかかりました。

<改装への舵きり>
打つ手がないようですが、この条例制定前に敷地が明らかに存在していたと証明できれば建築の許可は
おります。これは独立直後に設計した「ナノハウス」で経験済みでそちらは証明できて新築出来ました。
ただ、結果から言うと残念ながら証明できる資料はありませんでした。
既存建物があるにも関わらず登記上も確認申請も効力はなく、これで新築建替えができないことがハッキリしました。
期間にしておよそ6か月ほど。ようやくと結論がでました。

いつも、『あとで後悔しないように家づくりをしましょう』とお施主さんに話しますが、
今回はその言葉通りにあらゆる検討をしつくし、再度改装計画に戻すというものになりました。
そのため、後悔もなくキッパリと改装へと頭を切り替えて改装案を練り始めることもできました。
むしろ、さっぱりと潔い良い気持ちにもなりました。

こうやって書くと、当初の話に戻ったわけでなんだか無駄のようにも思えます。
でも、物づくりにちゃんと向き合っていくプロセスでは、無駄なことはそうそうないものです。
前向きに模索している過程は必ず次につながります。

建築にはお金がかかりますが安易な結論で支払う工事費よりも、
本質に投じることでその価値は何倍にもなるように思います。

さて、頭を切り替えて考えた改装案についてはまた次に書きます。










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by slowlide850 | 2018-09-07 16:20 | architecture | Comments(0)

現場

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現場監理に行くと温度計が置いてありました。監督さんが付けたそうで、
暑い日は40度を超えるとのこと。過酷です。







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by slowlide850 | 2018-09-01 18:10 | architecture | Comments(0)

OH

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休暇の間に若原アトリエのオープンハウスに伺う。
鎌倉での減築改装。
さりげなく光が入り、柱梁の陰影をつくる。
いいものを見せて頂きました。


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by slowlide850 | 2018-08-20 08:36 | architecture | Comments(0)

夏季休業

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当事務所は8/13~16まで夏季休業となります。
どうぞよろしくお願い致します。

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by slowlide850 | 2018-08-12 10:41 | architecture | Comments(0)

二人舎 現場編 

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お盆前に解体を終えた「二人舎」の現場監理へ。
現場まで自転車で行くも暑い・・・。滴り落ちる汗で図面がにじむ。手拭いを鉢巻きにして見て回ります。

室内側から構造合板をメインとした構造補強と断熱材充填を行うために、室内の壁はほぼ撤去しました。
賃貸利用で二戸に分かれていた間仕切り壁も撤去されて、2Fの空間が現れました。
長方形の平面に寄棟の屋根がかかる一体空間が気持ちいい。
東西の長手方向へ風が流れていくイメージも沸いてきて、設計時の脳内想像図と実体がどんどんくっついていく。
思っていた通り2Fの雰囲気が「潔く・シンプルで・わかりやすい」ものでよかったよかった。

外装下地の木摺りや、丸太梁、現在の基準からすると華奢な構造体も、築40年なりの雰囲気が出ていて、
これもとてもいい。「ん~よしよし思っていた通り」だと内心ほくそ笑んで一人ご満悦。

この改装計画では、今まで小屋裏に隠れていた丸太梁や架構を現しにして、舟底天井にします。
ただ、いわゆる古民家の改装のようなものにはしたくないので、私なりにひと工夫していきます。

しかし、改装工事では解体工事が終わると一安心ではあります。
「解体工事には魔物が住んでいる」とは勝手に私が思っていることで、解体してみたら漏水が何か所もあるとか、
あるべき箇所に基礎がないとか、土台が腐って使い物にならないとか。想定できないような「魔物」が現れたりします。
時に「魔物」は追加工事費につながったりして予算を圧迫しかねず厄介極まりない。

今回も実際は浴室廻りの土台が腐食していました。現調時に壊した箇所ではなかったので発見に至らず。。。
現場と協議して、設置を中止した金物費と相殺で土台入れ替えを行い、施主負担にはならずよかったのですが・・・

建築はたえず「想像と対処」の産物です。つまり「ワクワクとドキッ」を繰り返して作ってゆく感覚?でしょうか。

お盆休みが開けたら構造材の設置工事です。
暑い中を重い構造材の取付です。棟梁には頭が下がります。






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by slowlide850 | 2018-08-11 16:11 | architecture | Comments(0)

二人舎 そのはじまり編

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お施主さんにご了解を頂き、このブログ上でここまでの「二人舎」について書かせて頂こうと思います。
この計画はつい先日着工しましたが、改装計画から一度は新築建替え計画を模索して、また改装計画に戻るという。
色々なことを考えて現実の問題に対処しながら、着工にたどり着いた計画となりました。
なかなかその過程の面白さや大変さが興味深いこともあり書いてみたいなと思っています。

<二人舎計画概要>
杉並区の住宅地にある築40年・木造2階建ての元賃貸物件を住宅へ改装する計画です。
一見すると普通の住宅ですが、建物を道路側と奥でちょうど半分に分けた二戸の賃貸物件として長く使われていました。
それぞれに玄関・階段があり1階に水廻りとダイニング、2階に和室がある長屋物件で、延べ面積は21坪。
この建物をご主人(40代)奥さん(30代)のご夫婦2人住いに改装するというものです。
画像の右手にあるのは母屋で、お施主さんが育った家です。
なので、この母屋と計画建物が一つの敷地に並んで建っているという立地になります。

<ご相談>
二戸ともに空いたのを機に、ご夫婦は道路側の部屋で暮らしはじめたものの、
二戸に隔てている間仕切り壁を壊して広く暮らしたい。
さらに、築40年の浴室はまさに極寒・・・バランス釜なので浴槽も狭く脱衣場もないのでとても不便。
急な階段のせいで奥さんがケガをしてしまったなどなど。。。
そんな状況から改装したい。ということでご相談を受けたのは17年の春。
着工まで1年4か月の時間がかかりました。

後になり実際解体してみると、断熱材なんてものはほぼない・・・。
密集地ですから陽当りも良好とはいえず、お聞きしているだけでも冬の寒い日常生活が伝わってくる。
とくに浴室には床にスポンジマットを敷いたり、壁にビニールを張って保温を図ってみたり、
と工夫をしている様子は住宅設計者としては、「何とかしなくては!」という思いにかられます。

そして、ご相談を頂いた時期はちょうど「にびいろの舎」の竣工時期だったので、
そちらを内見してもらい、設計のテイストなども見てもらったうえで計画を進めることになりました。

<調査>
ほどなくして建物の調査を行ったのですが、当初から懸念していた「耐震」が問題になります。
築40年となると旧耐震制度下で建てられたもので、阪神や熊本などの地震でもとても倒壊の多い時期の建物です。
その上、この建物は駐車スペースに柱や壁を設けることができなかったため、鉄骨フレームで
強引に上屋を支えるという問題個所(下画像)や極端な構造上の耐力壁不足(1階に窓がとても多い)
など構造上の脆弱さが見えてきました。

外見だけでは心配なので工務店の監督さん・大工さんにも来てもらって、一部床や壁を壊して
基礎や柱、床下、小屋裏なども確認。
こちらは腐食などもなく問題ありませんが、基礎は経年の劣化があり安心はできない状況でした。
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お施主さんから耐震化の要望はありませんでしたが、安全性の状況はもちろん報告しますし、
当然専門家としての助言も行います。
そして熟考の結果、おそらく驚かれるだろうけれども、設計者としては建替えた方がいいと
お施主さんに進言することにしました。
この建物がお施主さんにとって、ことさらに愛着・想い入れのあるものでしたら私も判断に迷いますが、
元は賃貸物件で自らが住んだのは最近です。向き合って話していれば想い入れの度合いは自然とわかります。
耐震補強のコストを考えれば新築した方がいいというのが、この時の私の考えでした。

新築模索編につづきます。






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by slowlide850 | 2018-08-03 10:32 | architecture | Comments(0)

昔の人は背が低かった展

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森美術館で行われている「建築の日本展・その遺伝子のもたらすもの」を観に行く。

しかし暑い。今日は地底人になりたいとばかり、地下鉄と地下道を駆使して向かう。
地下道のありがたみってこんなに感じたことはなかったんじゃないか。と思う。
近い将来、本気で都心部が地下道主体になる気がしてくる。
そして、この暑さでオリンピックをやるというのは、ちょっともう意味がわからなくなってきている。
選手もボランティアも、平和の祭典という名の生死をかけたリアルサバイバルということでいいのだろうか。
とりあえず各国の選手には下見がてら、この暑さを一度体感してもらったほうがいいんじゃないかと思う。
みんな不参加になったりして・・・

さて、最近の大型の建築展というと、有名建築物の原寸モデル展示が流行りです。
今展示には茶室「待庵」があり、さらに中にも入れます。本物は国宝で中には入れません。これは嬉しい。
建築物のスケールは体感するものです。
いくら本を読んでも図面を読み込んでも、それは知識にすぎない。

3人一組で中へ入るのでカップルで来ていた方と入ったのですが、そのあまりの天井の低さに
女性が「昔の人は身長が低かったのかな?」と言ったのが面白かった。
利休の身長は180cmと言われていますから、もちろん「意図」して天井を低くし、わずか2畳という空間を造った。

どうも建築展というのは、こうした疑問に答える術を持っていない。
建築論的な説明書きはあっても、人が体感した際の純粋に感じる疑問が、まさに「意図」に直結している
という大事な状況を拾いきれない。

もしかしたら音声ガイドを使っていればはフォローしているのかもしれないけれど、
その女性は「昔の人は背が低かった」ということで待庵という茶室を理解してしまうかもしれない。
かといって、いきなりガイドでもない赤の他人の私が呼び止めて説明するのは、立派に不審者レベル。。。
建築好きとしては、なんだか勿体ないなっと思ってしまった今日の出来事。












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by slowlide850 | 2018-07-20 23:07 | architecture | Comments(0)

設計事務所のお仕事

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新築・改装工事の見積もり期間は大抵3週間で工務店さんに依頼しています。
この期間というのは、いつも予算から大幅にオーバーしませんようにとドキドキします。
「プロなんだから、決まった予算にビシッと一発で合わせこむのが仕事だろう」という声が聞こえてきそうです。
その通りです。耳が痛いところです。

しかし、なかなか一発では難しい状況がそこにはあります。
住宅の工事で同じ図面を用いて見積りを行う場合でも、3社に相見積もりをとれば金額の高低差は
300万円~400万円はざらに異なるものです。
工事に対する人件費の割合はとても大きいもので、同じ内容工事でもA工務店は10人工、かたやB工務店は20人工と
見方が異なるだけでも、各工事を合計すれば大きな差が生まれます。

工務店さんによっては自社の営業・宣伝費なども経費や見積もりの中に入ってきたりするので、
工事費を予算通りに合わせこむというのは、図面内容以外に存在してしまう不確定な要因にも左右されてしまう。
とても難しい作業とも言えます。

とはいえ当然、予算に向けての減額作業がとても大切になります。
出てきた見積もりに対しては、見積査定書を作成して工事単価・数量・内容に至るすべての項目を査定しています。
この査定は、事務所の仕事の中でもとても重要なものです。
減額要素だけでなく、時に増額となる部分も指摘します。公平にかつ工事として適正な金額を算出をしているのは
きれいごとではなく、お施主さん・工務店・設計者の三者の信頼関係を築きたいからです。
この三者のしっかりとした関係なしに、何千万もする工事なんてとてもじゃないけれど怖くてできません。

今回もこうした減額作業を経て「二人舎」も再来週には着工の運びとなりました。
年内には竣工します。また工事中の様子もこのブログにあげますのでご覧ください。







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by slowlide850 | 2018-07-11 19:38 | architecture | Comments(0)

洗面所

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こうして光の入る、スッキリとした洗面所は気持ちがいいです。

ただこの洗面所、実は壁と壁との幅は1.3Mほどしかないので寸法上は狭いんです。
そこで、浴室の扉を換気もかねて開け放つことで、
目線高さに設けた浴室窓から庭へと視線が抜けるようにしていたり、
横長のハイサイドの窓からは、借景の森が見えることでそこにある空間よりも広く感じる仕掛けを施してあります。
また洗濯機や棚板もわずかに壁をへこませて納めることで、少しでも有効寸法を生み出すような
小さな工夫を積み重ねてあります。

設計者にとって現実の寸法から、空間の広がりをどれだけ作りだせるのか。
だまし絵ではないですが、人がその空間をどう感じるかを想像して、
現実の寸法からどれだけ飛躍することができるのか、挑戦心をかきたてられます。



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by slowlide850 | 2018-07-05 16:19 | architecture | Comments(0)