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二人舎 新築模索編

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画像:新築案検討時の模型
インナーバルコニーを設けた都市型住宅。

『二人舎 そのはじまり編』のつづきです。
<借地>
建替えの進言をお施主さんは受け入れてくださり、新築計画を練り上げることになりました。
問題になったのは、敷地の状況でした。
前述のように計画地は母屋と計画建物が隣接し、その敷地全体は借地となっています。
さらに進めていくと借地が国有地であることがわかりました。
民間借地であれば、地主さんの承諾を取り付ければよいのですが、国有地となると私も経験も知識なく、
一体どういった手続きを踏めば許可されるのかわかりません。
しかも、交渉窓口の信託銀行の担当者ですらよくわからない。都度財務局の応答を経るという状況で
とても時間がかかりました。

基本的には借地の建替えは難しいというのが一般的な話です。
それでも、築40年の建物の安全性と元は自分が言いだしたことです。簡単に白旗をあげるわけにもいかない。
必要な手続きと費用を洗い出して模索してゆきます。

<敷地面積の最低限度規制>
借地だけの問題であれば新築はできた可能性はあったのですが、もう一つ大きな問題があります。
杉並区の条例「敷地面積の最低限度規制」です。
狭小地の売買規制を行い、これ以上の都市の密集化を防ぐ条例ですが、建替え計画に必要な70㎡を確保できないのです。
あとわずかに1㎡ほど足りない・・・。
この足りるか?足らないのか?の結論には、必要な登記の情報が見つからず法務局で調べてもらい、
その後区に調査依頼して、ようやく1㎡足らないことが判明しました。
こちらも結論までとても時間がかかりました。

<改装への舵きり>
打つ手がないようですが、この条例制定前に敷地が明らかに存在していたと証明できれば建築の許可は
おります。これは独立直後に設計した「ナノハウス」で経験済みでそちらは証明できて新築出来ました。
ただ、結果から言うと残念ながら証明できる資料はありませんでした。
既存建物があるにも関わらず登記上も確認申請も効力はなく、これで新築建替えができないことがハッキリしました。
期間にしておよそ6か月ほど。ようやくと結論がでました。

いつも、『あとで後悔しないように家づくりをしましょう』とお施主さんに話しますが、
今回はその言葉通りにあらゆる検討をしつくし、再度改装計画に戻すというものになりました。
そのため、後悔もなくキッパリと改装へと頭を切り替えて改装案を練り始めることもできました。
むしろ、さっぱりと潔い良い気持ちにもなりました。

こうやって書くと、当初の話に戻ったわけでなんだか無駄のようにも思えます。
でも、物づくりにちゃんと向き合っていくプロセスでは、無駄なことはそうそうないものです。
前向きに模索している過程は必ず次につながります。

建築にはお金がかかりますが安易な結論で支払う工事費よりも、
本質に投じることでその価値は何倍にもなるように思います。

さて、頭を切り替えて考えた改装案についてはまたに書きます。










by slowlide850 | 2018-09-07 16:20 | architecture | Comments(0)