akimichi design nikki

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ウィスキーのような建築

毎日ではないけれどウィスキーを飲みます。
マニアではないのでシングルモルトのコレクションとかはありません。
ただ好きな銘柄のウィスキーをゆっくり楽しんで飲んでいます。

ウィスキーというお酒はやはり時間が作り出すものです。
時間が作り出すものにはたいていはかないません。
それはもう動かしがたく変わらないものですから、好きも嫌いもなく、納得するのかしないのか。
そんなことも無意味です。ただありのまま。
必然として重く静けさをたたえることになるのでしょう。

時が熟成させていくような建築の在り方は理想であり、追及すべきテーマです。

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by slowlide850 | 2015-11-28 18:40 | life | Comments(0)

障子

住んでいる家のリビングは4.2mの吹抜で開放的。
その反面、吹抜に面した3階へは建具がないために
暖房時は3階を含めたすごく大きな気積を温める必要がある。
これはもうエアコンなどで手に負えるものではなくて、
能力の高いガスファンヒーターでないととても温まらない。
おかげで光熱費が恐ろしいことになる。。。

そこで少しでも負担を減らしたくて、3階への入り口に障子戸をつけた。
光は通したいので板戸でなく障子。

効果はどうかというと、これが素晴らしい。
短時間で部屋が温まる。ロスが減ったことを体感できる。
北烏山の家でも断熱に障子を用いたが、言ってみれば紙一枚だからその効果には驚かされる。

写真は湯河原の旅館改装の新設猫間障子戸。
開口を変則的な位置にしたのは、文筆机に座っても遠景が見えるようにしたから。
時に趣が変わって楽しい。
障子は断熱から風景を切り取る額縁にまで実に多才。

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by slowlide850 | 2015-11-24 11:19 | architecture | Comments(0)

散歩

いつものように散歩をしに野川公園へゆく。

河岸段丘である国分寺崖線沿いの湧水を集めて流れる川の名前をとった公園で、
もとは国際基督教大学のゴルフ場だった。
そのおかげで微妙に起伏があり表情のある園内になっている。
幼いころは両親が連れてきてくれた公園。

さらに護岸もコンクリートでなく、自然型の護岸で散歩にはうってつけ。
概ね地元民しか来ないので混まない。
桜の季節でものんびりとしていていい。

ここにお気に入りの銀杏の大木があり、毎年色づいた頃合いで見に行く。
暖かいせいかまだ葉先だけが色づいた程度だが、
この樹と空を見ていると気持ちが和らぐ。
この日は樹のそばの東屋で散歩中のビーグル犬を撫でさせてもらう。
昔飼っていたビーグルのミックス犬を思い出して懐かしくなる。

今年はゆっくりとした秋が続いている。
残暑から足早に冬となる例年よりも忙しさがない分落ち着いていい。


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by slowlide850 | 2015-11-24 10:39 | life | Comments(0)

工事現場デート

先日何気なくラジオを聴いていると、初デートの際に女性から工事現場見学をしたいと言われた。
という話をしていた。投稿者もラジオのパーソナリティーもいくぶん変わったデートと紹介していた。
でもその女性の気持ちはよくわかる。

工事現場は楽しい。ビルなどの大規模な工事現場など見飽きることがない。
鉄骨の構造材がクレーンで吊られてセットされるところや、溶接の火花なんかもたまらない。
搬入されるトラックの動線も気になるし、果ては養生の具合までと見どころはたくさんある。
竣工してしまえば見えない部分が見える。作られる過程の醍醐味。

出来上がったものを楽しむのはわかりやすい。
パッケージされ提供されたものを楽しむのも当然悪くはないのだけれど、そこにプロセスを含んで
提供されると楽しみの深さがまるで変わってくる。

住宅設計を設計事務所に依頼するのは、このプロセスが楽しめることにもあるでしょう。
パッケージされ提供されたものを味わうのとは、まったく違う喜びがある。
もしかしたら、その後の人生観も変わるかもしれない。

「この秋の工事現場デートはここで決まり!」なんていう雑誌の表紙があってもいいじゃないか。

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by slowlide850 | 2015-11-20 12:16 | architecture | Comments(0)

踏襲

湯河原の旅館で行った改装工事では、基本的にすでにある意匠を踏襲しつつ
新たな意匠を入れています。

画像の部屋は、腰窓を解体撤去して掃き出し窓に直しています。
濡れ縁はありませんので、丸太手すりを設けています。

さらに広縁の一部を縁甲板にして文筆机を新たに設けています。
天井材も赤身の材に張り替えて、空間の重心が低くなるようにまとめています。

重心の低くなった部屋うちから掃き出し窓を通して庭が入り込んでくるようになりました。
空間はよりのびやかになり、ともなって静けさも深まりました。
雪景色もまたきれいな部屋になったことと思います。

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by slowlide850 | 2015-11-12 14:11 | architecture | Comments(0)

怒られたい?

フリーで設計の仕事をしていると怒られなくなる。

スタッフ時代の初期はよく怒られた・・・
怒られたと言っても怒鳴られる類のものではなくてとにかくダメ出しばかりである。
図面を書いては思慮が足らずダメを出され、
現場へ行っては先を読む力がなくてまとめきれずダメをだされる。
入所一年目など概ね誰しも似たようなもので、それは社会全般職種を問わず同じだと思う。

自信喪失など日常茶飯事。己の存在意義も問う。
この仕事に向いていないんじゃないかと自問もする。
ただそう思うくらいが成長には不可欠と考えられるようになるのは後の話です。

今こうして事務所を構えると、もはや自分の書いた図面にダメ出しなど当然誰もださない。
もちろん現場監理も問題なくできる。もはや怒られない。

ではそれでいいかというと。今度は怖くなる。
自分の仕事に甘えがあっても、自分がスルーしてしまえばそれまで。
自分が自分に甘えていないかを絶えず問うという作業をせずにはいられない。
書いた図面を見返す。これで本当によいのかと自問する。
自問し続けることが仕事なのだと思う日々。
仕事終わりのビールがうまいのは納得した図面が書けた日。
小さな幸せです。

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by slowlide850 | 2015-11-10 18:23 | architecture | Comments(0)

子供部屋

子供部屋はどう考えましょう?
お子さんのいる設計案件では必ずでる言葉。

これはもう、親であるクライアントそれぞれの考え方がある。
リビングの一角に家具で遮って設けたい。という方もいれば、
個室にはしてあげたいがこもられると困るので、ベットとちょっと収納があればいい。
子供とはいえ一人の人間だから、しっかりと部屋を与えたいという親心もわかります。

もちろん考えは尊重します。ただ、面積の制約をうければおのずと答えも限られてくるものです。

これは、私の体験からくる考えですが。
私の育った家は、昭和の初めに作られた木造平屋建てで和洋折衷期のものでした。

真南に向いたコの字型の建物は、八畳と六畳の和室が南向きに配されて、廊下を挟んでガラス戸・濡れ縁
・庭へ続いていました。
動線の問題はあれど申し分なく陽の当たる気持ちの良い素敵な家でした。

竣工した当時は子供部屋などを設けない時代。子供部屋という部屋はありません。
当初は兄と私の兄弟は6畳間をカーテンで二部屋に分けて使っていました。
成長とともに両親は個室の方がよいと思ったのでしょう。兄は使っていた6畳間。
私には書斎であった三畳間を整理しさらに押し入れを撤去して広くしてくれた部屋をあてがってくれました。

兄の広い六畳間が恨めしかったかというとそんなこともなく。
このコンパクトな部屋がとても気に入っていました。
前回ブログで書いたような、まさに「こもり部屋」で快適でした。

この経験のせいか。
子供部屋をあまり大きな部屋としなくてもいいのではないか。と考えています。
子供は狭いほうが落ち着くんではないかと、むしろ成長過程に適した大きさ、
アイデンティティの生育には、さほど大きくないほうがいいとさえ思っています。

あくまで家の主役は大人です。
長い建物の一生で子供部屋が使われる期間は短い。
家を建てる時期の多くは子育て期なので、どうしてもその期間を主体として設計の要望が集中してしまう。
設計者はクライアントに建物の一生を想像してもらい、バランスよく設計しないといけません。

家族4人で16坪にくらす琵琶の家では、二人の男の子に作り付けの2段ベットと机、
収納を5畳一部屋で設ける工夫をしました。
面積の制約で一室とせざるおえないケースです。
それでも机と机の間は、扉があって視線を遮るようにして兄弟げんか防止の提案もしました。
まぁそれでも喧嘩はするでしょう(笑)
両親が設計段階で子供のために考え、議論した部屋で成長していけることは幸せなことだと思います。

設計の打ち合わせでしていることは、こうしたことです。
子供部屋ひとつにしても、考えることはしっかりとあります。
一つ一つ考えて、話し合い、納得してゆく。
とても面倒なことです。でも費やした時間だけ建物はその後の暮らしの中で喜びを返し続けてくれます。



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by slowlide850 | 2015-11-06 12:12 | architecture | Comments(0)

こもる

バスに乗ると一番前か一番後ろに乗ります。
電車の席は端っこが好きです。
カフェでは、隅っこの居心地の良さそうなところを陣取ります。
旅館の宴会場のような広間で夕食になると広すぎて落ち着かない人間です。
そんな設計者が設計する上座の家のロフトは、平屋の小屋裏スペースを利用した空間です。

元々は、同じくカフェでは隅っこが好きだという隅っこ派の
クライアントの奥さんの要望で作った空間です。

こもり部屋なので高さは腰をかがめて歩けるほど、読書など一人きりになるための空間です。
狭くとも窓もありますし、なによりトップライトから光が落ちてきます。

建築は合理的であるべきですが、それだけを突き詰めてしまうと少々窮屈でしょう。
このロフトは「余白」のような空間です。
でも豊かさは、こういった空間から生まれるものです。

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by slowlide850 | 2015-11-02 19:23 | architecture | Comments(0)